アルツハイマー病におけるプリオンタンパク質の機能を解明

Abstract

アルツハイマー病ではプリオン蛋白質がエクソソームへのAβ運搬のためのキャリアとして機能します。

プリオンタンパク質(PrP)のミスフォールディングは伝達性プリオン病(PrD)の原因事象として広く認識されているが、アルツハイマー病(AD)の発症にPrPが関与していることも提案されている。 ADにおけるPrPの役割としては、ADに関連するβ-アミロイド(Aβ)ペプチドとの結合によるアミロイド沈着の促進や毒性シグナルの伝達などが提案されている。 さらに、PrDの併発症にはAD様の神経病理学的変化があり、PrDがAD様病態の形成を促進する可能性が示唆された。 一つは遺伝的AD、もう一つはAPP/PS1遺伝子とprnp遺伝子の変異によって遺伝的PrDを発症するマウスを交配させたものである。 その結果、変異型PrPがAβプラークの沈着を促進する性質は野生型と差がなかったが、これまで報告されていなかったPrPの機能を明らかにした。 変異型PrPマウスやPrP欠損マウスで生じたAβプラークは、細胞内と細胞外の染まり方の比率が大きかったのである。 さらに、野生型PrPは神経細胞内のAβをエクソソームに結合し、分泌させることができることを見出した。 Aβプラーク内にPrPが含まれるのは、このキャリア機能の副産物であることが提唱された。 PrPノックアウトADマウスではプラーク負荷がまだ明らかであり、ADの治療標的としてのPrPの適性はまだ不明である。 しかし、他の研究では、疾患後期のPrPノックダウンがプラーク病理にほとんど影響を与えないものの、行動やシナプスの機能を回復させることが示されている。 Aβの輸送を変えることによって、Aβの細胞内/細胞外の沈着場所を変えることが、PrPの欠損によって観察される利点の説明となる可能性がある。 Aβが細胞から排泄される経路とそれに関与する結合パートナーを標的とすることは、治療研究の興味深い戦略を提示するかもしれない。

Highlighted Article

    1. K. Qin,
    2. L. Zhao,
    3. C. Gregory,
    4. A. Solanki,
    5. J. A. Mastrianni

    , “Dual Disease” TgAD/GSS mice extends enhanced Alzheimer’s disease pathology and reveal PrPC-dependent secretion of Aβ.D., , “Dual Disease” TgAD/GSS mice extends enhanced Alzheimer’s disease pathology and reveal PrPC-dependent secretion of Aβ.D., J. A. Mastrianni Sci.Rep. 10.1038/s41598-019-44317-w (2019)に掲載されています。