ベンゾジアゼピンの作用機序

この章では、ベンゾジアゼピンの作用機序について述べる。 向精神薬の作用は複数のレベルで表現されることがあるため、”Mechanisms “は複数形で使用されている。 ベンゾジアゼピンの作用機序の解明で最も進んでいるのは生化学的なレベルである。 生化学的および薬理学的な証拠から、ベンゾジアゼピン系薬剤の主要な作用部位としてγ-アミノ酪酸(GABA)シナプスが強く関与していることが判明している。 GABAシナプスへの作用は、ノルエピネフリン、セロトニン、アセチルコリンといった他の神経伝達物質の作用の変化を説明することができる。 脳組織に最も多く存在する神経伝達物質の一つであるGABAは、CNS全域のアミネルグ及びコリン作動性ニューロンに影響を与えることが知られている。 ベンゾジアゼピン系薬剤は、GABA以外の神経化学物質の活性に直接作用する可能性がある。 2つの予備的な報告では、GABA感受性の変化がジアゼパムの薬理活性のすべてを説明するわけではないことが示唆されている。 CNSに影響を及ぼすほとんどの薬物は、複数の神経伝達物質の体内動態を変化させることが知られており、ベンゾジアゼピン系が異なる作用を示すことを示唆する証拠はない