反強磁性

3d遷移金属の鉄、コバルト、ニッケルにおける強磁性に関するおなじみのハイゼンベルグ理論は、近隣のイオン間に正の交換積分を仮定しており、この積分が負の場合(反強磁性)は強磁性はありえないからである。 そのため、3d 系の残りの非強磁性体 (Sc, Ti, V, Cr, Mn) は負の交換積分を持っているという考えから、反強磁性系の性質を理論的に研究することになった。 Néelは、このような系には臨界温度(Tc)があり、それ以下では原子モーメントが平行と反平行に交互に並ぶことを初めて示した。 Tcを超えると、キュリー温度以上の強磁性体のように、モーメントが無秩序になる。 その後、この理論はVan Vleckによって拡張され、反強磁性モデルが遷移金属の多くの単純な化合物(CrSb、MnO、MnF2など)によく適合することが明らかにされた。 これらの初期の開発は、戦争の最初の数年間までに起こったもので、§1および§2に記述されている。 特にVan Vleckの理論に注目し、これがその後の多くの研究の出発点を形成しているからである。 3では、反強磁性化合物に関するその後の実験的研究が概観され、特に中性子回折の方法によって得られた結果に焦点が当てられている。 磁気異方性の測定と、多くの反強磁性格子の秩序化に伴うわずかな歪みの測定についても詳しく説明し、その理論的意義についても付随的に論じる。 Van Vleck理論を改良するための理論的な試みは、モデルの拡張とより正確な統計量の使用によって、§4で考察されている。 このセクションでは、例えばMnOにおいて最も強い相互作用が、期待されるような最近接のMnイオン間ではなく、次に近いMnイオン間にあるという観測を説明する、超交換機構についての議論も含まれている。 最後のセクション(§5)では、非強磁性遷移金属自身の現状を簡単に調査し、Shull と Wilkinson による最近の中性子回折研究が、反強磁性化合物で成功している種類の記述ではなく、いかに集団電子の記述を支持しているかが示されている。 現在の集団電子理論を拡張し、反強磁性秩序を与える方法が、最近Slaterによって示された。 報告書の最後には、反強磁性に関する実験論文を化合物別、性質別にリストアップした表が掲載されている。 興味のある特定の化合物に関する実験的研究を追跡することはしばしば困難であるため、これは有用であろう