担子菌

ほとんどの担子菌では、担子胞子は強制的に排出されるバリストスポアである。 その推進力は、放出された胞子の重心が急激に変化することに由来する。 強制排出の重要な要因として、担子胞子の近位先端(肺門部)に液滴が溜まるBuller’s drop、胞子が子房の外側に付着していること、担子胞子表面に吸湿性の領域が存在することなどが挙げられる。 凝結には2つの領域が重要である。 担子体に最も近い胞子の先端部(hilum)には、球形に近い大きな水滴(Buller’s drop)が蓄積される。 同時に、胞子の軸上面では薄膜状に結露が起こる。 この2つの水塊が合体すると、表面張力の解放と重心の急激な変化により、担子胞子が突然排出される。 また、Money (1998)は胞子の初期加速度を約10,000gと推定している。

担子胞子の排出は、胞子上に凝縮できる水蒸気が十分にあるときにのみ成功する。 これらのグループでは、胞子の散布は他の排出機構によって行われる。 例えば、カメムシ目Phallalesは昆虫を媒介として、パフボール目Lycoperdalesや土球目Sclerodermataceaeは乾燥胞子を担子嚢が乱れることで飛散させる、鳥の巣菌Nidularialesの種はスプラッシュカップ機構を利用している。 これらの場合、担子胞子は通常、肺門付属物を欠き、強制的な排出は行われない。 いずれの例も、担子菌の祖先である強制排出機構が進化的に独立に失われたものと考えられる