方法論文Alcanivorax borkumensisは、鉄制限下で炭化水素分解効率を維持したまま細胞外シデロフォアを産生する。分解効率

海洋炭化水素分解菌は,炭化水素を唯一の炭素源として利用する遺伝的・生理的特徴を持ち,通常栄養分の乏しい海洋環境において栄養分の摂取をめぐって競合する。 本研究では、Alcanivorax borkumensis SK2のシデロフォアによる鉄吸収系と、鉄が制限された条件下で脂肪族炭化水素であるテトラデカンの生分解におけるその機能を調べた。 SK2ゲノムのantiSMASH解析により、2種類のシデロフォア合成酵素の推定オペロンが存在することが明らかになった。 その結果、1つはOrn-Ser-Ornのカルボキシル基を持つ複雑なオリゴペプチド系シデロフォアであり、もう1つはサリチル酸系シデロフォアのファミリーであることが明らかになった。 このように、SK2株は最近報告された膜結合型の両親媒性シデロフォアamphibactinとともに、さらにシュードモニンに構造的に類似した細胞外型の鉄キレート分子を生産していることが明らかになった。 シデロフォア合成酵素の比較Q-PCR解析の結果、鉄欠乏培地において顕著な発現上昇が見られた。 また、2つのオペロンについて、成長の初期と後期で異なる発現パターンが記録され、鉄欠乏条件下でこれら2つのシデロフォアが異なる機能を発揮することが示唆された