縮小する海馬は初期のアルツハイマー病のシグナル
脳の海馬領域で脳細胞が減少した人は、認知症を発症しやすいと研究者は報告しています。 この研究結果は、脳の縮小、特に海馬領域の縮小が、明らかな記憶喪失やその他の症状が現れる何年も前に起こる、アルツハイマー病の初期徴候であるかもしれないという、増えつつある証拠に追加されたものです。 この研究は、64人のアルツハイマー病患者、44人の軽度認知障害者(アルツハイマー病に先行することもある、より軽度の記憶喪失)、および34人の記憶や思考に問題のない人々を対象としたものです。 その間に、軽度認知障害者のうち23人がアルツハイマー病を発症し、健康な参加者のうち3人が発症しました。
研究者たちは、研究の始めと終わりに、脳全体の体積と、アルツハイマー病によって影響を受ける海馬の領域を測定し、その間の脳の縮小率を計算しました。
研究開始時に認知症でなかった人たちは、海馬の体積が小さく収縮率が高い人は、体積が大きく脳細胞の消耗、つまり萎縮の速度が遅い人に比べて2~4倍も認知症を発症する可能性が高いことがわかりました。
「この発見は、軽度認知障害の段階で、すでに海馬にかなりの萎縮が起こっていることを反映しているようです」と、研究著者であるWouter Henneman, M.D.は述べています。 オランダ・アムステルダムにあるVU大学医療センターのWouter Henneman医学博士は、次のように述べています。 「すでにアルツハイマー病を患っている人では、神経細胞の損失が脳全体に広がっています」
タツノオトシゴの形をした海馬は、ギリシャ語の「タツノオトシゴ」に由来し、記憶の座として広く認識されています。 フロリダ大学のマクナイト脳研究所では、研究者たちが、海馬の一部の細胞を生かし、その近くの細胞を死なせている、あるタンパク質の「スイッチ」を調べています。 このタンパク質は、細胞が死ぬことを可能にする自然なプロセスのいくつかを妨げ、それによって細胞の生存を確実なものにしています。 海馬の神経細胞がどのように劣化するのかをよりよく理解することは、方向感覚の喪失や、思考や記憶に関するその他の問題を引き起こす可能性のあるアルツハイマー病などの病気のための新しい治療法につながるかもしれません」。 このような問題は、海馬の障害と強く関連しています。
By www.ALZinfo.org, The Alzheimer’s Information Site. Reviewed by William J. Netzer, Ph.D., Fisher Center for Alzheimer’s Research Foundation at The Rockefeller University.
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