Anxious mood and memory
Bower (Am. Psychol.36, 129-148, 1981) と Lang (Anxiety and the Anxiety Disorders, Erlbaum, Hillsdale, N.J., 1985) の影響を受けて、不安な気分と記憶に関する三つの仮説を検証してみた。 (1)気分状態依存仮説:エンコード時の気分と想起時の気分が同じであれば、異なるときよりも記憶の想起が大きくなるとする仮説。 (2)エンコード時の気分に意味的に関連する情報は、エンコード時の気分に無関係な情報よりも容易に検索されるというエンコード時気分一致仮説、(3)想起時の気分に意味的に関連する情報は、想起時の気分に無関係な情報よりも容易に検索されるという想起時気分一致仮説である。 実験中にスピーチをすることを伝えることで、スピーチ不安のある学生に不安を誘発した。 気分は、符号化時、想起時、両方、あるいはどちらでもなく、不安か非不安かのいずれかとした。 したがって、4つのグループに分けられた。 不安-不安群、不安-非不安群、非不安-不安群、非不安-非不安群の4群に分けた。 被験者は、符号化段階で不安の自己記述性(例:NERVOUS)と非不安の形容詞(例:POLITE)を評価し、後でそれを思い出すように指示された。 不安気分は自己報告式尺度と心拍数で測定した。 3つの仮説のいずれにも支持は得られなかった。 しかし、ポストホック分析では、エンコーディングから想起に至るまで心拍数が上昇した被験者において、不安な言葉が最も頻繁に想起されることが示された。 このことは、覚醒した非臨床被験者では脅威情報への注意が低下する可能性があることを示唆している
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