AP endonuclease EXO-3 deficiency causes developmental delay and abnormal vulval organogenesis in Caenorhabditis elegans, Pvl, via DNA glycosylase-initiated checkpoint activation in Caenorhabditis elegans

APエンドヌクレアーゼの発現量はL4期以降に増加する

孵化後、C. elegansは孵化後、4つの幼生期(L1-L4)を経て成虫になるが、それぞれクチクラが脱皮することで中断される。 成虫段階は、やはり若齢成虫段階と妊娠成虫段階の2段階に細分化される。 胚発生後のAPエンドヌクレアーゼの役割を知るために、exo-3またはapn-1のmRNA発現量の経時変化を測定した。 N2ワームの多くが卵期、L1期、L4期にある0、24、48時間では、exo-3、apn-1ともにmRNA発現量に差は見られなかった(図1a,b)。 ほとんどのN2ワームが若齢成虫期にある60時間では、exo-3とapn-1の発現量は0時間と比べてそれぞれ約13倍と2.3倍になった(図1a,b)。 N2ワームの多くが妊娠成虫期にある72時間後の発現量は、60時間後と同じであった(図1a,b)。 これらの結果は、APエンドヌクレアーゼが胚発生後、特にL4期以降に必要であることを示唆している。

図1
図1

通常の飼育条件下でのワームの幼虫発生に対するAPエンドヌクレアーゼ欠損の効果。 (a,b)出生後の各時点でN2ワームを収穫し、ワームから単離した総RNAをexo-3(a)およびapn-1(b)の特異的プライマーセットを用いたリアルタイムPCR分析に供した。 内部コントロールとして、Y45F10D.4が用いられた。 数値は平均値±S.E.を表す(n = 3/各時点)。 (c) 実験スキーム。 (d-f)各発育段階におけるワームの代表画像。 L4幼虫(d)。 若齢成虫(e)。 妊娠中の成虫(f)。 黒矢印は外陰部の位置を示す。 外陰部の形態と卵の抱卵の有無から発達段階を評価した。 (g) 受精卵を3日間培養した後の各発生段階の虫の割合。 数値は各発達段階のワムシ数/全生存ワムシ数を示す。

exo-3変異体は発達遅延を示す

L4から成虫段階へのAPエンドヌクレアーゼの寄与を明らかにするために、APエンドヌクレアーゼ(EXO-3とAPN-1のいずれか、または両方)を欠損したワームを通常の飼育条件で受精卵段階から3日間インキュベーションした(図1c)。 L4期、若齢成虫期、妊娠成虫期の間の発生段階は、外陰部の形態と卵の抱卵の状態によって区別した(図1d,f)。 N2ワムシはすべて妊娠成虫になったが、exo-3変異体では妊娠成虫期が14%、若齢成虫期が85%、幼虫期が1%に過ぎず(図1g)、EXO-3の欠損は発生の停止や発達の遅れをもたらすことが示唆された。 一方、apn-1変異体はすべて肉芽成虫となり、apn-1;exo-3変異体はexo-3変異体とほぼ同じ発生段階であった(Fig. 1g)。 12時間後、exo-3変異体およびapn-1;exo-3変異体はすべて肉芽成体に達した(データは示さず)。このことから、EXO-3の欠損は若齢成体段階での発生を停止させず、発生の遅延のみを引き起こすことが示された。 exo-3変異体の遅延がどの程度であるかを正確に調べるために、各ワームの肉芽成体への到達時間を2時間ごとに測定し、N2(N = 8)とexo-3変異体(N = 16)の平均時間の差を算出した。 その差は6時間であった。

エキソ3変異体の発達遅延はDNAグリコシラーゼNTH-1に依存している

エキソ3変異体の発達遅延表現型は、APサイトや3′ブロックされたSSBがEXO- 315の基質であるのでDNAに蓄積することによって起こると推論するのが妥当であろう。 DNA中のこれらの構造は、DNAグリコシラーゼによって生成されうる。 線虫に保存されている2つのDNAグリコシラーゼのうち、UNG-1はDNA中のウラシルに対する単機能性DNAグリコシラーゼ活性によってAPサイトを生成し、NTH-1はDNA中の酸化的ピリミジン損傷に対する二機能性DNAグリコシラーゼ活性によって3′ブロックされたSSBを生成していた。 そこで、exo-3変異体における遅延のUNG-1およびNTH-1への依存性を検討した。 卵から発生してから3日後、ung-1;exo-3変異体の9%が妊娠成体期、86%が若成体期、5%が幼生期にあり、これらの割合はexo-3変異体が示した割合(妊娠成体期11%、若成体期85%、幼生期4%)とほぼ同じであることから(図2)、UNG-1によらない遅延であることが示唆された。 一方、nth-1;exo-3変異体では、94%が妊娠成体期、6%が若齢成体期であった。 nth-1;ung-1;exo-3変異体は同様の結果を示し(図2)、遅延がNTH-1に依存していることが示唆された。

Figure 2
figure 2

通常の飼育条件下におけるDNAグリコシラーゼ欠損によるexo-3(tm4374)変異体の幼虫発生に対する影響. 卵から発生3日後の各発生段階におけるワームの割合。 数値は各発育段階でのワーム数/全生存ワーム数を示す。

exo-3変異体の発達遅延はMMSとNaHSO3により増強される

APサイト生成剤が発達遅延を引き起こすかどうかを明らかにするために、MMSと重亜硫酸ナトリウム(NaHSO3)による発達アッセイを行った(図3a)。 MMSは間接的にAPサイトを生成することが知られており20,21、線虫のゲノムにDNA損傷を誘発することが示されている22。 0.94 mM MMSを含むプレート上に産卵してから3.5日後、N2の97%が妊娠成虫期、3%が幼虫期であったのに対し、exo-3変異体の61%が妊娠成虫期、34%が若 成虫期、5%が幼虫期であり(図3b)、MMSによるAP部位は、n2よりもexo-3変異体の発達遅延をさらに引き起こすことが示唆された。 一方、apn-1変異体では93%が妊娠成体期、6%が若齢成体期、1%が幼生期であり、N2の結果と同様であった(Fig. 3b)。 NaHSO3 は主にシトシンのウラシルへの脱アミノ化によって DNA を損傷する23。 卵の段階から発生した4日後、NaHSO3で処理しなかったexo-3変異体はすべて妊娠成虫に成長したが、10 mM NaHSO3で処理したものは33%が妊娠成虫の段階、12%が若年の段階、55%が幼虫の段階にあり(図3c)、NaHSO3はexo-3変異体に発生遅延を引き起こすことが示された。 この遅延はung-1;exo-3変異体では緩和され、10 mM NaHSO3で処理したものの79%が妊娠成体期、14%が若成体期、7%が幼生期にあった(図3c)ことから、NaHSO3による発達遅延はUNG-1活性によるものであると推測された。 以上のことから、AP部位はNTH-1が生成する3′ブロックSSBと同様に発生遅延を引き起こすと考えられる。

図3
図3

AP部位生成剤の虫の幼生発生に対する影響。 (a)実験スキーム。 (b,c) 0.94 mM MMS (b) と 10 mM NaHSO3 (c) の条件下で卵から発生してから 3.5 日と 4 日後の各発生段階でのワムシの割合。

exo-3変異体の発達遅延はCHK-2によって誘導される

次に我々はexo-3変異体のDNAグリコシラーゼによる発達遅延はDNAグリコシラーゼによって生じる切断産物が引き起こすDNA損傷チェックポイント活性化によるものではないかと仮定した。 線虫では、chk-2やclk-2などのDNA損傷チェックポイント遺伝子が報告されている24。 我々の仮説を検証するために、chk-2 (RNAi) または clk-2 (RNAi) 条件下で発生アッセイを行った (Fig. 4a) 。 exo-3;control(RNAi)ワームの14%が幼若期、exo-3;clk-2(RNAi)ワームは同様の割合(幼若期18%、幼若期82%)を示したが、exo-3;chk-2(RNAi)ワームの93%は幼若期にあった(図4b)。 このように、chk-2のノックダウンによりexo-3変異体の発生遅延が救済されたことから、CHK-2がexo-3変異体の発生遅延を誘導していると考えられる。

Figure 4
figure 4

exo-3 (tm4374) mutant wormの幼虫発生に対するチェックポイントキナーゼ欠如の効果. (a)発生アッセイの実験スキーム。 (b)卵から発生後3日目の各発生段階におけるワームの割合。 数値は各発生段階でのワムシ数/全生存ワムシ数を示す。

EXO-3 は dut-1 (RNAi) による Pvl形成を防ぐ

DUT-1 は deoxyuridine triphosphate nucleotidohydrolase(dUTPase)であり、dUTPをdUMPに加水分解している。 そのため、dut-1(RNAi)によりヌクレオチドプール中のdUTPが増加し、dTTPの代わりにDNA複製によりDNAに取り込まれ、DNA中のウラシルの蓄積を引き起こす25,26。 dut-1 (RNAi) は野生型N2ワームにおいて外陰部器官形成異常、Pvlを誘導し、dut-1 (RNAi) によるPvlはUNG-127に依存していることが報告されている。 EXO-3の欠損は、UNG-1によるDNA中のウラシルの切断後のAPサイトの修復にEXO-3が必要なため、dut-1 (RNAi) 誘発Pvlの発生率が増加すると推測された。 このことを確認するために、APエンドヌクレアーゼ欠損変異体において、dut-1 (RNAi)によるPvl形成が観察された(図5a-c)。 卵から発生した4日後に生き残った成虫のうち、52%がdut-1 (RNAi)誘発のPvlを持つexo-3変異体、13%がPvlを持つN2ワームであり(図5d)、EXO-3の欠損がdut-1 (RNAi)誘発のPvlを増大させることが示唆された。 一方、apn-1変異体では15%がPvlを持ち、これはPvlを持つN2ワームの割合と同様であった(Fig. 5d)。 apn-1;exo-3変異体とexo-3変異体は同様の割合で、52%がPvlを有していた(図5d)。

Figure 5
figure5

dut-1 (RNAi)-induced Pvlに対するAP endonuclease欠損の効果。 (a)実験スキーム。 (b,c) 対照虫(b)とdut-1 (RNAi)誘発Pvl虫(c)の外陰部の代表的な画像。 (d) 卵から発生後4日目のPvlワームの割合。 数値はPvlワームの数/成虫の数を示す。

exo-3変異体におけるdut-1(RNAi)誘発Pvlの増加は、NTH-1に関係なくUNG-1に依存している

exo-3変異体におけるdut-1(RNAi)誘発Pvlの増加がUNG-1活性によって起こっているかどうかを調べるために、表現型がUNG-1に依存しているかを検討した。 Pvlを持つung-1;exo-3変異体の割合は2%であり、Pvlを持つung-1変異体(1%)と同じであった(図6a)。exo-3変異体のPvl増加はUNG-1の発現のみに起因していることが示唆された。

Figure 6
figure 6

Exo-3 (tm4374) 変異体における dut-1 (RNAi) による Pvl への DNA 糖鎖酵素欠損およびチェックポイントキナーゼ欠如の影響。 卵から発生後4日目のPvlワームの割合。 数値はPvlワームの数/成虫の数を示す。 (a) ung-1 (tm2862) 変異の影響。 (b)chk-2(RNAi)およびclk-2(RNAi)の効果。

次に、UNG-1が生成する切断産物がPvlの誘導に必要か、すなわちAP部位がNTH-1のAPリアーゼ活性を介して3´ブロックSSBに変化するかについて検討した。 Pvlを持つexo-3変異体の割合はnth-1;exo-3変異体の割合と同等であり(図7b)、NTH-1はdut-1(RNAi)誘発Pvlに必要ないことが示唆された。

Figure 7
figure 7

ダブルノックダウン法によるexo-3 (tm4374) とexo-3 (tm4374);nth-1 (ok724) 突然変異虫における酸化的DNA損傷剤に対するdut-1 (RNAi) 誘導Pvlの影響。 (a)実験スキーム。 (b) 卵から発生後4日目のPvlワームの割合。 数値はPvlワームの数/成虫の数を示す。 数値は平均値±SDを表す(n = 3)。 *P < 0.05;一元配置分散分析、多重比較はTukeyの検定。

exo-3変異体におけるdut-1(RNAi)誘発のPvlの増加はCHK-2によって駆動されている

我々は、UNG-1依存のdut-1(RNAi)誘発Pvl増加が、発達遅延に加えて、UNG-1の生成する切断生成物が駆動するDNAチェックポイント活性化によっても発生すると仮定した。 また、dut-1 (RNAi)誘発のPvlはチェックポイントキナーゼであるCLK-227によって引き起こされることが報告されている。 そこで、exo-3変異体におけるdut-1 (RNAi)誘発Pvlの増加がCHK-2およびCLK-2に依存するかどうかを検討した。 exo-3;コントロール(RNAi)ワームの49%がdut-1(RNAi)誘発Pvlを持っていたが、exo-3;chk-2(RNAi)ワームの10%だけが持っていた(図6b)。 一方、exo-3;clk-2(RNAi)ワームのPvlを持つ割合は、exo-3;コントロール(RNAi)ワームのそれとほぼ同じ(44%)であった。 したがって、chk-2のノックダウンによって、exo-3変異体におけるdut-1(RNAi)誘発のPvlの増加が、発達遅延で観察されたのと同様に回復したのである。 これらの結果は、exo-3変異体におけるdut-1 (RNAi)誘発のPvlの増加は、CHK-2の発現を介して起こることを示唆するものである。

酸化的DNA損傷剤は、dut-1(RNAi)と組み合わせた場合のみexo-3変異体におけるPvlの割合を増加させた

exo-3変異体においてPvlの増加を引き起こす他のDNA損傷剤を調べるために、ndx-1(RNAi)、ndx-2(RNAi)、メチルビオロゲン(MV)などの酸化的DNA損傷剤がPvl形成を促進するかどうかを評価した。 NDX-1 と NDX-2 は 8-oxo-dGDP を 8-oxo-dGMP に加水分解する24,28. したがって、NDX-1 (RNAi)とNDX-2 (RNAi)はヌクレオチドプール中の8-oxo-dGDPを増加させることにつながる。 8-oxo-dGDPの存在はNDX-4の8-oxo-dGTPase活性を低下させ、8-oxo-dGTPがプールに蓄積される原因となる24。 8-oxo-dGTPはDNA複製時にDNAに取り込まれ、その結果、DNAに8-oxoGが蓄積される24,28。 MVはスーパーオキシドラジカルを生成し、これがDNAに酸化的な傷害を与える29。 しかし、ndx-1 (RNAi), ndx-2 (RNAi) またはMVによる単独処理はexo-3変異体のPvlの発生に影響を与えなかった。 (data not shown)。 次に、dut-1 (RNAi)処理と組み合わせた場合、各酸化性DNA損傷剤がexo-3変異体におけるPvlの増加をさらに促進するかどうかを調べた(図7a)。 このことから、DNAの酸化的損傷もPvlの増加を引き起こすことが示唆された。

in vitroの実験では、NTH-1はDNA中の8-oxoGに対して弱いDNAグリコシラーゼ活性を持っており、さらに酸化的ピリミジン損傷に対してはるかに高い活性を持っていることがわかった30。 従って、dut-1 (RNAi)誘発のPvlが酸化剤によってより高く上昇するのは、NTH-1の活性に依存するものと思われた。 この表現型のNTH-1への依存性を確認したが、NTH-1を欠損させてもPvlを示すワームの割合は変わらなかった(図7b)