取り残された石 急性虫垂炎と虫垂石の関係 | RegTech

DISCUSSION

虫垂石は「糞石」または「体石」とも呼ばれ、虫垂の石灰化沈着物で、急性虫垂炎の病因に寄与している。 虫垂周囲に存在する1cm以下の高減衰域、またはモリソン(ダグラス)袋に穿孔した症例として定義される。 虫垂石の存在と急性虫垂炎との強い相関を示す症例報告が文献上見受けられる。

急性虫垂炎の病態において、虫垂石は重要な役割を担っているが、虫垂石だけが病態の主体ではない。 他の管腔閉塞の原因も記載されている。 リンパ球過形成、異物、狭窄、腫瘍、クローン病などである。 虫垂石形成の病因はまだ不明であるが、いくつかの症例報告では、摂取された異物や胆石が胆嚢を侵食して外れたものなどが挙げられている。

虫垂周囲の炎症性変化や虫垂壁の増強がなければ、虫垂石の存在それ自体は急性虫垂炎の診断にはならないと考えられている。 急性虫垂炎のCT徴候のうち,虫垂石の存在は特異度100%であるが,感度は44%と低いと報告されている。 CT所見では膿瘍、管外ガス、イレウスが最も特異度が高いが、管内の虫垂石の検出は穿孔の検出において感度・特異度が低いのに比べ、感度が低いことが報告されている

。 さらに、HuwartとEl-Khuoryらは、消化管に関する既知の症状を持たない成人被験者85名の腹部CTスキャンを調査している。 彼らは、57/85人の患者が虫垂切除術を受けていないことを発見したが、これらの被験者全体の13%に虫垂石が検出された。 したがって、彼らは急性虫垂炎の診断において虫垂石の存在に統計的な有意性はないと結論づけた。 一方、CTスキャンを用いた小児虫垂炎の診断について研究したJabraらは、虫垂石は他の目的で行われた腹部X線写真に付随して発見されることがあると報告している。 しかし、腹痛を伴う場合は、90%の確率で急性虫垂炎であり、虫垂穿孔の危険性も50%高いという。 急性虫垂炎の診断基準として、画像診断に基づくものがいくつか報告されているが、その中に虫垂石は含まれていない

診断上の意義のほかに、虫垂石の存在は治療上重要な意味を持つ。 患者が何らかの外科的介入を受ける場合、治療する外科医はそのことを予見しておかなければならない。 症例報告だけでなく、いくつかの研究において、脱落した虫垂石が患者全体の病的状態を悪化させることが報告されている。 特に腹腔鏡下虫垂切除術では、脱落した虫垂石から骨盤内膿瘍が報告されている。

議論の余地はあるが、急性虫垂炎時の穿孔率が高いことを考えると、無症状患者において虫垂石が見つかることは予防的虫垂切除を行う十分な証拠となり得る。 また、リソースが限られているため、最終的な病理診断は得られなかった。

虫垂の肥厚や虫垂周囲の浸潤などの他の所見がない場合、虫垂石の存在は虫垂炎の診断にはならないが、過去の虫垂炎に関連している可能性はある。 また、治癒した虫垂炎は慢性虫垂炎と区別する必要があり、慢性虫垂炎は治癒を目的とした手術が有効である