トマト(Lycopersicon esculentum)のポストハーベスト病原菌に対するTrichoderma harzianum 2株による拮抗作用

感染トマト果実と他の健全果実の表面洗浄物から分離した全真菌(14種類)の病原性試験で病原率が異なることが分かった. その結果,Rhizopus属が最も病原性が高く,Fusarium属がこれに続いた. Trichoderma harzianum属(T3およびT4)は,試験した病原体に対して異なる拮抗パターンを有していた. T3およびT24のポストハーベスト病原菌に対する拮抗作用の二重プレート試験では、T3およびT24によるクリアゾーンのサイズはそれぞれ1~4mmおよび3~6mmの範囲であった。 拮抗剤(T3およびT24)はRhizopus sp.に対して阻害帯を示さなかったが、9日間の培養で100%過繁殖させることができた。 他のポストハーベスト菌は、T3がT24より高い過繁殖率を示した。 また、Aspergillus属菌については、T3で増殖したA. niger(3株)を除き、2種の拮抗菌では増殖が認められなかった。 揮発性および非揮発性代謝物試験により、Penicillium stekiiの菌糸成長はT3およびT24によって他の試験病原体よりも有意に阻害されることが示唆された。 A. niger (1)は、1日培養で12%、3日培養で97%まで抑制され、T24の不揮発性代謝物により菌糸成長が抑制された。 興味深いことに、T3およびT24の揮発性化合物によるAspergillus sp.の阻害はそれぞれ2%と20%であったのに対し、非揮発性化合物による同じ病原菌の阻害はそれぞれ75%と87%に達している。 この結果から、T. harzianum (T3 and T24) はトマトスライスに対して、試験した病原菌の感染から完全に保護できることが明らかになった。 3日間培養後、Trichodermaはトマトスライス上のこれらの病原菌の線形成長を抑制し、その抑制率は80~100%の間で有意であった(Rhizopus属の抑制率は33%にとどまった)